海外旅行の行き先として人気のタイ・バンコク。
観光やグルメ、ショッピングを楽しむ人にとっては馴染み深い都市ですが、実は「バンコク」という名前、現地の人にはほとんど使われていないことをご存じでしょうか?
「バンコク」はタイ語で「クルンテープ」
タイの人々が首都を呼ぶとき、一般的に略されるのは「กรุงเทพๆ クルンテープ(Krung Thêep)」。意味は「天使の都」です。
つまり、私たちが「バンコク」と呼ぶのは外国人向けに広まった名称で、現地の生活では別の呼び名が息づいているのです。
こうした呼称の違いは、歴史や文化の奥深さを映す鏡のようにも思えます。
世界一長い都市名クルンテープ…の正体
タイ語での正式名称はとても長く、「Krung Thep Maha Nakhon Amon Rattanakosin…」 と続き、全部で170文字近くに及びます。タイ語では
กรุงเทพมหานคร อมรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยา มหาดิลกภพ นพรัตนราชธานีบูรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์มหาสถาน อมรพิมานอวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์
カタカナで書くと、
クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット (wikipediaより)
これはギネス世界記録にも登録されており、世界で最も長い都市名とされています。
内容を紐解いてみると、ただの地名ではありません。
「天使の都」「不滅の宝」「偉大なる土地」「九つの貴重な宝がある場所」など、仏教の宇宙観や伝統への敬意が折り込まれています。
都市そのものを讃える詩のような名前。そこに、タイという国が都市をどれほど神聖視しているのかが垣間見えます。
バンコクの正式名称の覚え方
実はバンコクの正式名称を歌にしてる曲があるんです。
メロディーに乗せると覚えやすいので、もし覚える必要がある場合はこの歌で一緒に歌ってみて下さい。
※最初の40秒くらい前奏で、そこから歌が始まります。
「バンコク」の語源にある素朴な風景
一方で、私たちが慣れ親しんでいる「Bangkok」という呼び方の由来には、意外と素朴な説があります。
それは「バーン・マコーク(オリーブの木の村)」から転じたというもの。
かつてこの地にはオリーブの木が生えており、その小さな村の名が世界中に広まったといわれています。
荘厳な正式名称と、素朴な村の呼び名。
そのギャップこそが、バンコクという都市の懐の深さを物語っているのかもしれません。
豆知識を旅のお土産に
バンコクの正式名称をすらすらと言える観光客は少ないですが、もし現地の人に披露できたら話のネタとして盛り上がるはずです。
ただし長すぎるので、せめて「クルンテープ=天使の都」と覚えておくと、旅の会話もより深く楽しめるでしょう。
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